修理事例のご紹介
ムートンブーツの修理事例:シミが残ってしまったブーツのカラーリング補修
さまざまな修理事例を、どうやって修理するのか、どのような過程を経ているのかを動画とともに解説します。
ご依頼の概要
ブランド
EMU Australia(エミュ オーストラリア)
ご相談内容
シミが残ってしまったムートンブーツカラーリング補修
修理方法
つま先にかけて残っているシミをキレイにします
※作業前には、消臭除菌効果のあるオゾンを発生させ、ブーツを清潔な状態にしています。
STEP1.マスキング処理<1>
色補修しない部分をマスキングでカバーします。
スプレーガンで染料を吹き付けるため、ムートン以外の部分は全てカバーしておきます。
STEP2.ブラッシング
あんこを入れて形を整え、銅線のスエードブラシを使用して毛並みを起こし整えて、ブラッシングをしていきます。
ここまでシミが目立たなくなりました。
STEP3.溶剤で拭取り
それでも残っている黒ずみや端のシミは、溶剤を使い、落としていきます。
全体に撫でるようにして、落ちにくい端も丁寧に拭き取ります。
POINT:起毛素材の色補修は起毛感を残すため、少しずつ染色するので、この時点でシミや色ムラをなくす事がキレイに仕上げるポイントになります。
STEP4.マスキング処理<2>
濃いグレー部分を先に染色するため、うすいグレー部分をマスキングでカバーして色補修に進みます。
STEP5.色補修
染料を調色します。
染料を生地に乗せてブーツと確認、微調整をして色を合わせ、表面の埃や革くずをキレイにしたら染料を吹き付けていきます。
全体にムラにならないように、バランスを見ながら作業し、全体に色が乗ったら毛並みを変えるようにブラッシングをしていきます。
もう一度、染料を吹き付けることで全体に色が行き渡り、ムラのないキレイな仕上がりになります。
左右で並べると、色補修した方は、少し色が濃くなって染色されているのがわかります。
もう片方も同じように吹き付けたら、左右のバランスを確認して微調整していき、再度確認して修正したら、濃いグレーの色補修が完了です。
続いて、色戻しの染色をしていきます。
うすいグレーのマスキングを剥がし、全体に色戻し剤を吹き付け、栄養成分で油分を補い、起毛素材の色彩に深みを与えます。
うすいグレー部分の染色は、濃いグレーと同じ染料を、うすく吹き付けます。
左右のバランスを見て修正し、もう一度確認、微調整をしたら色補修の完了です。
ムラなく全体に色が入りました。
STEP6.仕上げ処理
最後に丁寧にマスキングを剥がしたら完成です。
シミのないキレイなムートンに仕上がりました。
起毛素材のブーツのカラーリング補修もご相談ください。
専門用語解説
修理工程で出てくる専門用語について解説します。
- あんこ:形を整えるために中に入れる詰め物
- 色戻し剤:起毛革に柔軟性・撥水性・栄養を与え、色彩を濃くする効果がある仕上げ剤
修理概要
- 修理メニュー:カラーリング
- 金額:税込17,600円
- 納期:約7週間(納期は時期により異なります)
※公開日時点での情報です