靴の修理
あなたの大切な物、直します--時々連載Vol.1-- 背中を押してくれた大人ブランドのブーツ
家族から譲り受けたもの、大好きな人からの贈りもの、あのとき自分を励ますために買ったもの、長年愛用してきたもの......。もう使えなくなってしまったけれど、どうしても捨てられない、あなたにとって大事なものが眠っていませんか?
ミスターミニットは、使えなくなってしまった「あなたの大事なもの」に再び命を吹き込むお手伝いをさせていただきます。
この連載では、直したい、大事なものを持ってミスターミニットを訪ねてきてくれた「人とものを巡る物語」をお届けしていきます。
今回のお客様は、モデル・高橋絵美さん。どんな靴、そしてどんな思いが込められているのでしょうか。
10年前、背中を押してくれた「Shinzoneのブーツ」
モデル・高橋絵美さん
今回のお客さまは、モデルの高橋絵美さん。高橋さんが直したい、大事なものは10年前に購入したという「Shinzoneのブーツ」。
二十歳の頃、「non-no」モデルグランプリで優勝し、同誌の専属モデルになった高橋さん。このブーツと出会いは、モデルとして新しいスタートを切った10年前まで遡ります。
「Shinzoneは大人のブランドですが、当時から憧れていて、ちょっと背伸びをして表参道にあるお店に入ってみたら、このブーツに一目惚れしちゃったんです。二十歳の私は、値が張るブランドものは持っていなくて、4-5万円するブーツを買う感覚はなかったんですよ。それでも、どうしても欲しくて、モデルの仕事をこれからがんばろう、このブーツに似合う素敵な女性になろう、と思い切って購入しました」
当時は地元・広島の美容専門学校でアロマなどを学びながら、撮影時に上京してモデルの仕事をこなしていた高橋さん。東京への憧れ、モデルという仕事に対する意欲、理想とする女性像...... 少し背伸びをして買ったブーツに思いを重ねました。
そして、その約半年後、広島から東京へ拠点を移し、本格的にモデルの仕事に専念することに。ブーツが高橋さんの一歩を後押ししたのかもしれません。そこからはnon-no専属モデルとして怒涛の日々が始まります。在籍していた美容専門学校の卒業式の日もタヒチで撮影。海外での撮影も多く、期待に応えるためにとにかく「がむしゃら」だったと高橋さんは当時を振り返ります。3年経つ頃には、non-no以外の仕事にもチャレンジし、これまで雑誌・テレビ・WEBなど、活躍の場を広げてきました。
「20代はとにかくがむしゃらに仕事をして、もがいてもがいて、なんとか10年やってここまできました。30歳を迎えて、ようやく自分のスタイルができてきて、公私ともにステージがまたひとつ変わってきているのかな、と感じています。これからはモデルとしてママさん向けの活動もしていきたいと思っています」
30歳になり目標を新たにした時、高橋さんは10年前に自分を後押ししてくれたブーツのことを思い出します。初心を忘れないためにも、あのブーツをまた履きたい、と。
non-no専属モデル時代、3年間履き続けたブーツは、かかとはすり減り、ほつれや傷が数か所あり、全体的にハリがなく、革の色もくすんでいました。もう履けないことは頭ではわかっていたけれど、どうしても捨てられなかったそのブーツを、高橋さんはミスターミニットの職人に託します。
高橋さんからブーツを受け取った職人は、かかとを補強し、傷とほつれを修復し、革を磨き保湿。ブーツは新品同様に、生まれ変わりました!
「わあ、すごーい!! 新品みたいにピカピカですね。傷がどこにあったのかまったくわからないし、ツヤも出ていて、美しい。靴の修理は初めて体験するんですが、ここまで生まれ変わるんですね。びっくりしています。やっぱりかわいい。10年前の気持ちが蘇ってきて、また愛着が湧いてきました」
ブーツを受け取った高橋さんは、そう笑顔を輝かせてくれました。これから高橋さんが歩む新しい道に、このブーツがまた寄り添っていけますように。
「またこうして履けることが本当に嬉しい。10年前に履いていた頃はまだ20ー23歳で、やっぱり背伸びをしているなあという感じだったので、30歳になってようやくこのブーツに似合う女性になれたのかな? これからたくさん履いて、ずっと大事にしていきたいです」
うん、とってもお似合いです。新品とは違い、自然体でカジュアルなのに品がある高橋さんに馴染んだ、ほかのどこにもないブーツ。ミスターミニットは、これからもこのブーツを高橋さんが「手放せないもの」にするお手伝いをさせていただきます。
(撮影:松浦藤仁 / 取材・文:徳瑠里香)
今回の修理
Before
脂分が抜け革がカサカサに。
AFTER
・ヒール(かかと)のゴム交換 1,800円+税
・ほつれ縫い修理 1,200円+税(ブーツの履き口の縫い目がほつれていたのを修理)
・プレミアム磨き 1,000円+税
修理・磨きを担当したスタッフのコメント
「長く丁寧に履かれていたことがうかがえ、大きな傷みはなかったのですが革が乾燥しヒールも減っていました。次履くときに万全な状態で履けるようにと考えて作業しました。一番のポイントは革の保湿で、靴磨きの工程で乾燥によるカサカサ感や色抜けを補修しました。
思い出深い靴をまた新たな気持ちで履いて頂ければと思います。」
※記事内容・価格は取材時点での情報です。